多読と趣味の英文ライティング

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英語で読む村上春樹

まず最初に。10年ほど前、同じタイトルのラジオ番組がNHKでありましたが、その番組についてではありません。

 

村上春樹はこれまで16冊英語で読んでます。わざわざ英語で読んでるのは英語を読むのが好きだからです。日本語ではエッセイを2冊読みました。

 

小説は日本語で読んでないので村上春樹小説の文体を味わうことはできてませんが、話の面白さは変わらないのではないかと思います。(実際に読み比べたわけではありません)

 

ただ、面白さや本質は変わらないとしても、英訳本は原本から削除されてる部分がそれなりにあるそうです。私の買った英訳のペーパーバック「1Q84」は、日本語版が文庫本で数冊になってるのに対して1冊(かなり分厚い)になってて、詳しくは知りませんが結構原本から削除されてるそうです。「海辺のカフカ」も英訳を読みましたが、こちらも一部削除されてるそうです。

 

世界的に有名な村上春樹は少なくとも英語圏では、原本から一部削除されたものが読まれているということですね。と言っても、一部削除されてる英訳本は、おそらく「1Q84」など、かなり長編のものだけだと思いますが。

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村上春樹は、最初の小説を英語で書いたというくらい、英語や、そしてアメリカ文化に精通していて、本人も「グレート・ギャツビー」などの翻訳本を書いてます。文体も、翻訳調かそうでないかの二択で感想を述べよと言われたら翻訳調と答えたくなるほどなので(書店でほんの少し立ち読みした印象ですが)、英訳への親和性が高いと言われているのも納得です。

 

NHKの番組「英語で読む村上春樹」で言ってましたが、村上春樹の英訳者は優れた英訳者だそうです。そして村上春樹の文章が英訳への親和性が高いと言われているのは上に書いたことからも納得ですが、それでも文化的な背景の違いから、英語圏の人が理解しやすいように英訳するために原本とはズレているところがあるようです。同番組ではそんな例をいくつも示してました。つまり村上春樹は、原本とは少しズレた箇所を含んだものが英語圏で読まれているということですね。(英語以外の言語の翻訳本については知りません。また、村上春樹は他の日本の作家に比べたら多分ズレが少ないほうだと推測します)

 

ただ、そのズレは番組を聞いていた範囲では全体からすれば重大なものではないと感じました。英訳本には村上春樹本人の目が通っていて本人了解のようですし。それに原本を100パーセント維持しながらの翻訳はそもそも不可能ですもんね。

 

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Kazuo Ishuguroがノーベル文学賞を取りました。日本生まれ、両親も日本人。でも、育ちはイギリスで、完全に英語ネイティブです。読んだのは2冊だけですが、平易な英語なので、初めて読んだ時は非英語ネイティブが書いてると思いました。平易な英語で書くのは、非英語ネイティブにも読んで欲しいということだそうです。

 

ノーベル文学賞は、川端康成をはじめ英語圏以外の作家にも送られているので、きっと言語は関係ないのでしょうね。(あるような気がするけど、笑)。

 

村上春樹がノーベル文学賞を取れなくて少し残念に感じてましたが、エッセイ「職業としての小説家」を読んだら、ノーベル文学賞は村上春樹には似合わないと感じました。受賞したらやっぱり「私は」嬉しいでしょうけど、笑。

 

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さて、前置き(!)が長くなりました。この投稿で書こうと思っていたことはそもそも上に書いたようなことではなくて(笑)、村上春樹を英訳で読むと、元の日本語が連想されることが多々あって、この日本語はこんな風に英語で表現できるんだ、という感じで英文ライティングにも役立ちそう、ということでした。書き出しを間違ったのか、予定と違うことを取り留めもなく長々と書いてしまいました(笑)

 

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最後に、取り敢えず何か英訳で村上春樹を読んでみようと思われたら、短めのものや短編集が良いと思います。

 

Wind/Pinball: Two novels (English Edition)

「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」アマゾン kindle本 ¥631

 

The Elephant Vanishes: Stories (Vintage International) (English Edition) 「象の消滅」と他の短編  アマゾン Kindle本 ¥1200

(値段は2023年5月16日現在)

 

おまけ)こんな本もあります

村上春樹「象の消滅」英訳完全読解 アゾマン Kindle本¥1188

NHKラジオ番組「英語で読む村上春樹」で使われたテキストからの抽出。番組ほど詳しく解説されてるか読んでないので不明です。

 

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「1Q84」と「海辺のカフカ」の英訳が原本から一部省略されていること、その省略を村上春樹も了解しているということについてですが、これらのことはどこかで読んだか(聞いた?)のですがどこだったか覚えておらず、改めてネット上でウラをとろうと思ったのですが、そういう記述を見つけられていません。そのことを一応ここに記しておきます。